
まえがき
船員制度近代化の経緯を取りまとめた「船員制度近代化−経緯と今後の方向−」に記述されているとおり、仮設的船員像を掲げて進められてきた船員制度近代化は、運航士や船舶技士制度の創設、近代化船の設備基準や配乗体制の法制度化及び船員教育制度の改革等をとおして、我が国船員社会に大きな変革をもたらした。 平成5年には世界最少定員となる11名体制が確立され、さらに平成6年から7年にかけては混乗近代化船及びP船の洋上メンテナンス制度が、それぞれ実用化され、第四次提言が概ね達成されたことから、近代化実験に一応の区切りをつけることとなった。 依然として続く円高等による我が国外航海運の国際競争力の低下に対応して混乗近代化への流れが進む中、昨年1年間で混乗近代化船は10隻増えP船を除いた近代化船の9割弱を占めるようになった。 こうした中で、国際経済情勢の変動に対応して、我が国外航海運の国際競争力の維持・確保を図るため、現在、海運造船合理化審議会において審議されている国際船舶制度或いは船員制度近代化の考え方に通じる選択的資格証明制度の創設を含んだ‘95STCW改正条約が、今後の船員制度近代化にどのような影響を与えるのか、またこの影響を受けて今後の船員制度近代化をどのように進めて行くのか調査・検討を行い、ここにその結果を報告するものである。
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